撮影:古屋均
「三番叟」は祝儀の儀礼曲で、古くから各地の人形芝居や神楽、能、歌舞伎などの伝統芸能で重要な演目として扱われてきた。近世に多くのバリエーションが生まれたが、ここでは性格の異なる二人の三番叟が登場する。
平安の世、時の帝の弟宮が何者かに誘拐され、宮の守護役である平傔仗は、責任を問われ窮地に陥っていた。事件の背後には、先頃朝廷に滅ぼされた奥州の豪族、安倍一族の再起をかけた陰謀が見え隠れする。 主を失った宮の御殿で、傔仗が切腹を迫られているところへ、娘の袖萩が訪ねてきた。かつて浪人者と恋に落ちて勘当され、いまは夫にも離れ盲目の上、物乞い同然の女芸人となり果てている。偶然父の窮状を耳にして、幼い娘を連れて駆け付けつけたのだ。しかし謹厳な父はけっして娘を許そうとしない。その上袖萩がみせた書状から、その夫こそ安倍一族の棟梁で宮誘拐の首謀者、安倍貞任と知れる。傔仗はもはやこれまでと切腹。盲目の袖萩も、図らずも父と敵対する身の上を悟り、時を同じくして刃を自らに突き立てた。
そこへ現れたのは、宮中からの使者桂中納言則氏。傔仗と袖萩の姿を冷ややかに見降ろすのだが、実はこの男こそ安倍貞任だった・・・
奥州安倍氏の反乱を雄大な構想のうちにサスペンス仕立てで描く、時代浄瑠璃の傑作。
「文楽」はユネスコの「無形文化遺産」にも登録された日本を代表する伝統人形芝居。1体の人形を3人で操ることで、感情やしぐさを繊細に表現します。
それに対し「乙女文楽」は、1人の人形遣いによって演じられます。昭和初期に文楽の人形遣い五世桐竹門造らによって誕生し、1人で遣うために、人形の仕組みと操り方にさまざまな工夫がなされています。女性ばかりで演じられる華やかな舞台もみどころです。
創始者桐竹門造の直弟子である故・桐竹智恵子に1967年から教えを受け、翌68年に初公演。今年で結成50年を迎えます。この間、国内はもとより世界各地で公演し、近年は子ども向けの教室の開催など地域に根ざした活動にも力をいれています。また智恵子師亡き後は2010年より文楽の桐竹勘十郎師に指導をあおいでいます。
メンバーは人形劇団ひとみ座の女性演技者です。今回は五十周年を記念し、総力をあげて時代浄瑠璃の大作「奥州安達原」袖萩祭文の段に挑戦しました。また「二人三番叟」は若手演者によりお届けします。
「二人三番叟」
松島麗、高橋ちひろ
「奥州安達原」袖萩祭文の段
袖萩 木俣かおり
平傔仗直方 松本幸子
浜夕 山下潤子
安倍貞任 蓬田雅代
安倍宗任 小林加弥子
源義家 亀野直美
お君 鈴木文
腰元 前島千尋
仕丁 安藤麻衣、女部田麻緒
演奏: 「奥州安達原」
前 浄瑠璃・竹本土佐子、三味線・鶴澤津賀花
後 浄瑠璃・竹本越孝、三味線・鶴澤寛也
指導:故桐竹智恵子 ◇ 桐竹勘十郎
前売 一般4000円 学生3500円
当日 一般4500円 学生4000円
お電話でお申し込みは
現代人形劇センター:TEL 044-777-2228
TEL 0570-02-9999(24時間音声自動応答 Pコード488212)
TEL0570-010-296(休館日を除く10:00〜19:00)
主催:(公財)現代人形劇センター
後援:(公財)日本伝統文化振興財団/(公財)ポーラ伝統文化振興財団/ NPO法人日本ウニマ(国際人形劇連盟日本センター)
助成:(公財)朝日新聞文化財団
協力:国立文楽劇場/NPO法人人形浄瑠璃文楽座/日本人形劇人協会
企画制作:(公財)現代人形劇センター
TEL 044-777-2228
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